脂肪吸引とたるみ、出るかと取れるかは別の話です

脂肪吸引を考えはじめると、たるみの話がかならず出てきます。脂肪が減ったぶん皮膚が余って、かえって垂れて見えるのではないか。反対に、いま気になっているたるみを吸引で一緒に取れないだろうか、と期待している方もいらっしゃるでしょう。
調べてみると、答えが正反対に並んでいます。脂肪吸引で皮膚が余計にたるむことは基本的にはない、という解説がある一方で、吸引だけを行えば半分ほどの人はたるむと見込む解説もあります。どちらを信じればいいのか、迷うのは当然です。
実はこの二つは、どちらも間違っていません。前提にしている条件が違うだけです。そしてもう一つ、多くの記事では「吸引したらたるむか」と「いまあるたるみが吸引で取れるか」が一つの話として書かれていますが、この二つは答えが別々に出る問いです。 ここでは二つを分けたうえで、どちらの答えも左右する条件を整理します。
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「たるむか」と「取れるか」は別の問い
まず一つ目の問い、吸引したあとにたるむかどうかから見ていきます。
脂肪を取ると、皮膚を内側から押していた中身が減ります。すると皮膚は、減った体積に合わせて縮もうとします。皮膚そのものが持つ戻る力に、皮膚と下の組織がくっつき直していく働きが重なって、少しずつ新しい形になじんでいきます。この縮みが十分なら線が整って終わり、足りなければ余った皮膚が表に出てきます。
縮む幅は、人によってかなり違います。「たるまない」という解説は縮む力が十分な人を、「たるむ」という解説は足りない人を思い浮かべて書かれている、と読むと、食い違いの理由が見えてくるのではないでしょうか。
時間のことも知っておいてください。術後すぐの時期は、むくみや組織のゆるみで、たるんだように見えることがあります。そのあとには拘縮といって、皮膚と下の組織がくっつき直す途中の硬さやつっぱりが出てきます。解説によって幅はありますが、拘縮は術後三週間から一か月ごろに出はじめ、三か月から半年ほどで落ち着くのが目安とされています。途中の姿を仕上がりと見て、たるんだと決めるのは早すぎます。
二つ目の問い、いまあるたるみが取れるかどうかは、話の向きが逆です。脂肪吸引は脂肪を減らす手術で、皮膚そのものを引き締めることを目的にしたものではありません。取れるかどうかは、たるんで見えている中身が脂肪なのか皮膚なのかで決まります。こちらはあとの章で詳しく見ていきます。
吸引後のたるみを分ける六つの条件
一つ目の問いの答えを決めるのは、皮膚の縮む力です。その力に何が影響するかを表にまとめました。診断ではなく、自分がどちら寄りかを考えるための目安として見てください。
| 条件 | たるみにくい側 | たるみやすい側 |
|---|---|---|
| 年齢 | 皮膚のハリが保たれている | 年齢とともに縮む幅が小さくなる |
| 体重の増減歴 | 大きな増減なく過ごしてきた | 減量とリバウンドを何度も繰り返した |
| 妊娠・出産、急な減量 | 皮膚が大きく伸びた経験がない | 伸びた状態が数か月続いた、短期間で大きく落とした |
| 皮膚の状態 | 厚みがあり、表面が整っている | 薄い、日焼けが多い、肉割れや折れじわがある |
| もともとの脂肪量 | 適度についている | とても多く、そのぶん皮膚も伸びている |
| 取る量 | 必要なところを必要なだけ | できるだけ多く取ることを目標にする |
年齢はよく聞かれる項目ですが、それだけで決まるわけではありません。コラーゲンやエラスチンは三十代あたりから減りはじめるとされ、四十代以降、六十代以降と、慎重に見る段階が上がっていきます。ただ、四十代でも体重の増減が少なく表面が整っていれば落ち着いた結果になることがありますし、二十代でも短期間に大きく落とした直後なら慎重に見ます。
減量のすぐあとについては、少し補足が要ります。大きく体重を落とした直後は、皮膚がいちばん余って見える時期です。 この時点の姿で判断すると、たるみを実際より大きく見積もりがちです。反対に、この状態のまま脂肪を大きく減らせば、余った皮膚はさらに表に出ます。体重がまだ動いているなら、落ち着くのを待ってから、残っているのが脂肪なのか皮膚なのかを見直すほうが確かでしょう。
表の上の五行と最後の一行は、性質が違います。上の五つはすでに決まっていて、いまから変えられない条件です。最後の一つだけが、これから決める条件です。条件が不利でも取る量を調整すれば結果は変わりますし、条件が良くても取れるだけ取ろうとすれば、たるみが出ることがあります。
家でおおまかな見当をつけることもできます。気になる場所の皮膚をつまんで、離してみてください。すぐに平らに戻るなら縮む力が残っている側、細かいしわがしばらく残ってからゆっくり戻るなら、その力が落ちている側に近いと考えられます。左右を比べる程度の参考にしてください。
部位で違う、たるみの出やすさ
同じ体のなかでも、部位によって余裕が違います。
顔では、頬やフェイスラインが重力の影響を受けやすい場所です。頬を取りすぎるとこけて見え、かえって年齢を感じさせる方向に動くことがあります。一方で、あご下は比較的皮膚が締まりやすい部位とされています。
二の腕は皮膚が伸びやすく、脂肪の層も厚くないので、余裕が少ない部位です。腕の場合は、脂肪で揺れているのか、皮膚が余って揺れているのかで、選ぶ方法そのものが変わります。見分け方は二の腕のたるみ、脂肪吸引で取れる人と取れない人で詳しく書いています。
お腹は脂肪の層が比較的厚く、量を調整する幅があります。ただ、妊娠や出産で皮膚が大きく伸びたことがあるお腹は、同じ量を取っても余りが出やすくなります。下腹部と脇腹を分けて考える方法は下腹部と脇腹の脂肪吸引にまとめています。
太ももは、内側の皮膚が薄く、しかも歩くたびに動く場所です。もう一つ気をつけたいのが、お尻のすぐ下です。ここの脂肪はお尻を下から支えているので、取りすぎるとお尻が下がって見えることがあります。太ももでは、細くしたい場所と残しておくべき場所が隣り合っています。
いまあるたるみは吸引で取れるか
二つ目の問いに戻ります。答えは、たるんで見えている中身しだいです。
脂肪の重みで下がって見えているたるみは、吸引で変わる可能性があります。あご下や頬のように、脂肪がたまったせいで皮膚が垂れたように見えているケースです。中身が減れば重みもなくなり、線が上がって見えることがあります。
一方、皮膚そのものが余っているたるみは、吸引では取れません。中身を減らすと、余っていた皮膚がさらに目立つ方向に動きます。この場合は脂肪吸引だけで解決しようとせず、ほかの方法と組み合わせるか、ほかの方法に切り替えることを考えます。
ほかの方法として挙がるのは、大きく三つです。一つは、熱を加えて皮膚が縮む力を借りる引き締めの施術で、高周波(RF)やHIFUと呼ばれるものがこれに当たります。二つ目は糸で引き上げる方法、三つ目は余った皮膚を切って取る方法です。引き締めの施術は軽いたるみやハリ不足に向く方法とされ、変化も数か月かけて少しずつ出てくるものです。垂れ下がった皮膚を持ち上げるものではない、と知っておくと期待の置き方を間違えずに済みます。 切除は余りそのものを減らせる代わりに、線として傷が残ります。
どれを選ぶかは、たるみの量だけでなく、傷や回復にかけられる時間をどう考えるかでも変わります。吸引と同時に行うのか、吸引のあとで皮膚がどこまで戻るかを見てから考えるのか、という順番の問題もあります。中身が減ってはじめて分かることもあるので、迷うなら後戻りできるほうから始めるのが自然です。
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取る量より、残す厚みを先に決める
脂肪は取り除くだけのものではありません。皮膚の下で表面を支える層でもあるので、ある程度残っていることで線がなめらかにつながります。必要のないところまで取ると、支えがなくなって、その上の部分が垂れてくることがあります。
ですから、縮む力が弱い条件では、どれだけ取れるかよりどれだけ残すかを先に決めます。 薄い脂肪の層をあえて一枚残す、という考え方です。同じ人の体でも、部位ごとに残す厚みを変えるのはそのためです。
この厚みは、見た目やつまんだ感触だけでは決まりません。超音波で脂肪の層と皮膚の厚みを分けて測ると、同じようにつまめる場所でも、残せる余裕がどれだけあるかが数字で見えてきます。つまんだときの戻り方や、角度を変えた写真を合わせて見るのも、たるみの側に寄っていないかを先に確かめておくためです。
回復の過ごし方も表面に関わります。圧迫がたるみを防ぐかどうかは解説によって見方が分かれていて、皮膚の収縮を助けるとする考えもあれば、むくみや内出血を抑えるためのものでたるみとは関係ないとする考えもあります。いずれにしても、圧迫の強さや期間は受けた範囲によって違うので、自分の判断で早めにやめたりせず、指示に合わせてください。それより確かに言えるのは、皮膚が落ち着くまでのあいだに体重を大きく動かさないことです。増えれば残った脂肪が大きくなって皮膚がまた伸び、急に落とせば縮みが追いつく前に中身がまた減ってしまいます。
韓国で受けることを考えている方は、LINEで相談するときに、気になる場所を正面と横から撮った写真と、ここ一年ほどの体重の動きを添えてみてください。たるみの側に寄っていそうかどうかの見当が、渡韓の前につけやすくなります。術後の経過は、一か月、二か月、三か月、六か月と節目ごとに見ていく流れがあるので、そのうち来られる時期と、来られないあいだの経過の伝え方を、手術の日程と一緒に決めておくと安心です。滞在日数の考え方は韓国での脂肪吸引のダウンタイムと滞在日数が参考になります。
最後に、つまんで確かめる形でまとめます。つまんだときに脂肪の厚みがしっかりあって、離すとすぐ戻るなら、吸引で整える方向に期待できる幅があります。つまめる厚みは薄いのに、離してもしわが残るなら、いまはさらに取ることが答えになりにくい状態です。どちらとも言えないなら、決めるのはやるかやらないかではなく、どこで止めるかのほうです。