産後の脂肪吸引はいつから?脂肪・皮膚・腹直筋離開の見分け方

体重はだいぶ戻ったのに、下腹だけが前に出たまま。服を選ぶたびにそこが気になって、脂肪吸引を調べ始めたという方は少なくありません。そのとき最初に浮かぶのが、産後いつから受けられるのかという疑問です。
調べてみると、産後2〜3か月、卒乳から1〜3か月、生理が戻ってから2か月ほど、断乳から6か月以上と、目安の数字がばらばらに出てきます。どれかが間違っているというより、何を起点に数えているかが違うんです。
先に答えを書くと、時期を決めるのは産後の月数より、授乳が終わっているか、体調が戻っているか、体重の動きが止まっているかの三つです。 そしてもう一つ、産後のお腹が前に出ている理由は脂肪だけとは限りません。脂肪吸引で変わるのは脂肪なので、皮膚のたるみや腹直筋離開が混ざっていると、時期がそろっても思ったほど平らにならないことがあります。ここでは、いつから考えられるかと、いまのお腹に何が残っているのかを順に整理します。
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産後の月数より先に見る三つの条件
妊娠で大きくなった子宮は、産後6〜8週間ほどかけて元の大きさに戻っていきます。お腹の形もそのあいだに大きく変わるので、この時期の見た目で何かを決めることはできません。
では、そのあとはいつでもいいのかというと、そうでもありません。日本のクリニックの解説を読み比べると、最低でも産後2〜3か月は空けるという点はほぼ共通していて、そこに授乳や体調の条件が重なっていきます。
| 条件 | 確かめること | そろっていないときに起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 授乳 | 卒乳・断乳が済んでいるか | 授乳中の手術は受けられないとする医療機関が多い |
| 体調 | 出産時の出血による貧血、睡眠不足や疲れが戻っているか | 傷の治りや腫れ、内出血の引きが遅れやすい |
| 体重 | ここ数か月、増減の向きが止まっているか | 残っているものが脂肪なのか見分けにくく、術後に形が変わりやすい |
| 皮膚・腹筋 | 皮膚の余りや腹直筋離開がどの程度か | 脂肪を取っても平らにならないことがある |
| 次の妊娠 | 予定があるか、いつごろか | 整えた形が次の妊娠で変わることがある |
上の三行は、手術を考えられる時期かどうかの話です。下の二行は、考えられるようになったときに何をどこまで期待できるかの話で、順番が違います。上の三つのうち一つでもまだ動いている途中なら、下の二つをどれだけ正確に見ても、計画がそのまま保てません。
体重については、何キロ以内なら大丈夫という線があるわけではありません。見るのは向きです。まだ落ちている途中なら脂肪はさらに減る余地がありますし、反対に増えているなら、整えたあとにまた形が変わります。数か月同じところにとどまっていて初めて、いま残っている厚みが、この先も残る厚みだと言えるようになります。
授乳中は決めずに下見にとどめる
授乳中の手術を避ける理由として挙げられるのは、麻酔や術後に使う抗生物質、痛み止めなどの成分が母乳に移るということです。そのため、授乳中の脂肪吸引は受けられないとする医療機関が一般的で、卒乳や断乳からどれくらい空けるかは、1〜3か月から6か月以上まで、解説によって幅があります。ここは自分の状況を伝えたうえで、診察で確かめるところです。
もう一つ、時期の判断で実際に引っかかるのは形のほうです。授乳中は体重も体の水分も動いている時期なので、いま見えているラインが、この先も続くラインなのかが分かりにくくなります。授乳すると痩せやすいと言われる一方で、お腹が空きやすく、かえって体重が増えることもあります。卒乳して何か月かたつと、同じ場所がまったく違って見えることは珍しくありません。細くなる方向にも、そうでない方向にも変わります。
だからといって、授乳が終わるまで何もできないわけではありません。授乳中は決める時期ではなく、下見の時期と考えると無理がありません。 どこが一番気になり続けているのか、皮膚がどのくらい戻ってきたのか、腹筋の状態はどうか。こうしたことを先に確かめておくと、時期が来たときに一から考え直さずにすみます。
脂肪・皮膚・腹直筋離開を分ける
産後のお腹が前に出て見える理由は、大きく三つに分かれます。
一つ目は皮下脂肪です。つまむと厚みがあり、柔らかい。妊娠中に蓄えた脂肪が、体重が戻ったあとも下腹や脇腹に残っている状態で、脂肪吸引が働くのはこの部分です。
二つ目は皮膚です。大きくなったお腹が縮むとき、一度伸びた皮膚は元どおりには縮みきらず、たるんで残ることがあります。どこまで戻るかは人によって大きく違います。つまむと厚く感じても、実は脂肪ではなく、余った皮膚が折れ重なっているだけということもあります。
三つ目が腹直筋離開です。お腹の真ん中を縦に走る腹直筋が、妊娠中に左右へ離れ、産後もその状態が残っているものです。妊娠中は腹筋の腱をゆるめるホルモンが出るため、産後も腱が伸びたままになることがあり、その程度には個人差があります。腹直筋離開があると、脂肪がそれほど多くなくても、お腹が前に出て見えます。
| お腹の見え方 | 考えられるもの | 脂肪吸引との関係 |
|---|---|---|
| つまむと厚く、柔らかい | 皮下脂肪 | 対象になる |
| 厚みは少ないが、皮膚が折れて重なる | 皮膚のたるみ | 脂肪を取るだけでは整わない |
| 脂肪は多くないのに、中央が前に出る | 腹直筋離開 | 脂肪吸引では変わらない |
| 帝王切開の傷の上に肉が乗る | 傷の癒着とその上の脂肪 | 乗っている脂肪は減らせるが、癒着は変わらない |
| つまめないのに硬く張り出す | 内臓脂肪 | 対象にならない |
実際には、どれか一つだけということはあまりなく、いくつかが混ざっていることがほとんどです。どれの割合が大きいかで、脂肪吸引で変わる幅が決まります。つまめない硬い張り出しについては内臓脂肪と皮下脂肪の違いで詳しく書いています。
この区別は、鏡を見たりつまんだりするだけでは出てきません。脂肪の厚みと皮膚の余りは手の感覚では混ざってしまいますし、腹筋の状態は外からは見えないからです。カウンセリングで超音波を当て、皮下脂肪の厚みと腹直筋の状態を合わせて見るのもそのためです。
脂肪吸引で変わるのは脂肪だけです
脂肪吸引は、皮膚の下にある脂肪細胞そのものを吸い出して、数を減らす手術です。下腹の段差、ズボンの上に乗る肉、脇腹から腰にかけてのラインといった、服を着たときの輪郭に出る部分が変わります。下腹と脇腹をどう分けて考えるかは下腹部と脇腹の脂肪吸引で扱っています。
反対に、離れた腹直筋を寄せることはできませんし、大きく余った皮膚を取り除くこともできません。皮膚の余りが大きい場合は、余った皮膚を切り取ってお腹を引き締める手術が選択肢に入ります。タミータックや腹部リダクションと呼ばれるもので、脂肪吸引とは別の手術です。どちらが合うかは、皮膚と腹筋の状態を見て分かれます。
注意したいのは、皮膚の余りが大きいお腹で脂肪だけを多く取った場合です。中身が減ったぶん、皮膚が余って見えやすくなることがあります。どこまで取ってどこを残すかは、脂肪の量ではなく、皮膚と腹筋の状態から逆に決まります。 脂肪吸引のあとの皮膚の変化については脂肪吸引とたるみの関係にまとめています。
もっとも、産後の相談がお腹だけで終わるとは限りません。抱っこで腕を使い続けるうちに、二の腕や脇のあたりが以前より厚く感じるという方も多くいらっしゃいます。体重は同じなのに袖だけがきつい場合は、脂肪よりむくみを先に疑ったほうがいいこともあります。
関連ページ : ラインカルチャーのお腹の脂肪吸引
次の妊娠を考えているなら
もう一人を考えているなら、お腹については時期を後ろにずらすほうが無理がありません。
脂肪吸引をした場所は脂肪細胞の数が減っているので、妊娠中に体重が増えても相対的に太りにくくなります。ただ、吸引していない場所には脂肪がつきやすくなりますし、妊娠と出産をもう一度経れば、皮膚や腹壁はまた伸びます。産後の変化は前もって予測しにくいので、お腹や腰まわりは、出産を終えて形が落ち着いてからのほうが仕上がりが安定しやすくなります。
手術のあとに妊娠する場合の間隔にも目安があります。吸引した場所は拘縮といって、組織が硬くなりながら落ち着いていく過程をたどり、それにはおよそ半年かかります。そのため、術後少なくとも3〜6か月は妊娠を避けるよう勧められています。貧血の回復も待つ必要があります。
予定はあるけれど時期は決まっていない、という方もいらっしゃるでしょう。その場合は部位で分けて考えます。妊娠の影響を大きく受けるお腹は後にして、ほかの部位は先に考える、という組み方もできます。全部待つか全部やるか、の二択だけではありません。
手を借りられる日数から逆算する
条件がそろったら、残るのは日程です。産後の相談で一番悩ましいのは、実はここかもしれません。
手術そのものより、そのあとが大変です。脂肪吸引のあとはしばらく圧迫着をつけて過ごし、腫れやむくみ、筋肉痛のような痛みがあります。そこに子どもを抱き上げる動作や夜中に起きる生活が重なります。睡眠不足が続くと、腫れの引きが遅れることもあります。手術の翌日は、子どもの世話を代わってくれる人がいたほうが安心です。
ですから、何をするかを決めてから日程を合わせるのではなく、手を借りられる日数を先に数えて、その中で範囲を決めます。 家族が何日休めるのか、子どもが何か月なのかで、同じ部位でも一度にするか分けるかが変わります。
渡韓して受けることを考えている場合は、子どもと離れる日数に移動の日も加わります。出発前に、お腹を正面と横から撮った写真、つまんだ状態の写真、ここ数か月の体重の動きをそろえてLINEで相談しておくと、脂肪吸引で変わる範囲の見当がつけやすくなります。術後は1か月、2か月、3か月、6か月に経過を確かめる時期があるので、それを日本からの行き来とどう合わせるかも、あわせて考えておきたいところです。
授乳が終わり、体重がしばらく同じところにとどまり、近いうちの妊娠予定がない。この三つがそろえば、いまの状態で考えて差し支えありません。そのうえで、お腹に残っているのが脂肪なのか、皮膚なのか、腹筋なのか。そこが分かれてはじめて、脂肪吸引が役に立つかどうかが決まります。 まずはいまのお腹がどれに近いのか、確かめるところから始めてみてください。